大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)76 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人君野順三の上告趣意は本書に添附した別紙記載の通りであつて、それは要

するに、被告人がライターに点火したことと火災発生との間の因果関係を否定し、

原判決の理由不備審理不尽を主張することに帰する。然しながら、原判決が認定し

ているように一方には、盛夏晴天の日、ガソリンが旺に揮発してゐた給油場内、ガ

ソリン罐を隔たること僅かに一尺五寸乃至二尺の箇所に於てライターに点火した事

実あり、他方にはその直後その場所に於て火災を発生した事実ありとするならば、

この二つの事実の間に因果関係の存在するものと認めるのが相当である。而も被告

人は、かような場合に当然に為すべきであつた火気取扱上の注意を怠つてライター

の発火を敢えてしたのであるから、重過失失火の責を免れない。たとえ、論旨の云

うような事情で、被告人がライターを取落した為め火災を生じたものとしても、全

部がガソリンで濡れているライターに前記のような場所で点火すること自体が既に

大なる不注意である。そして点火さえしなければ、右のような事実を生じなかつた

ことは勿論であるから、点火と火災との間の因果関係は否定せられない。また石油

店の事務員が臨機の手段を執つたならば、火災は小部分に止まつた筈であるという

主張も、被告人の右の責任を軽減する理由とはならない。それ故に原判決には審理

不尽理由不備の違法なく、上告論旨は採用することができない。

右の理由によつて、刑事訴訟法第四百四十六条により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

検察官 小幡勇三郎関与

昭和二十三年六月八日

最高裁判所第三小法廷

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裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 庄 野 理 一

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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